篠原町の家
土地購入からのスタート
敷地は新横浜駅に程近い、新しく開発された分譲住宅地です。この住宅の場合、土地購入を決めるところからお付き合い出来たのがよかったと思います。この分譲住宅地をお施主様が見つけて来られましたが、いくつか選択可能であった区画から本敷地をお施主様に薦めました。前面道路から2m程高くなった反対側の隣地(道路上空地)からの採光が望めるからですが、庭となる外部空間の配置を頭の中に描いていました。家族構成は共働きの夫婦とペットの犬と猫です。ご主人は外資系の企業にお勤めで夜間海外とやりとりされることもあり、どんな時間帯でも夫婦がそれぞれ気持ちよく過ごせる空間が必要でした。
柔らかな光の先に広がる空間
この住宅に限りませんが、光と熱の環境にこだわって設計を進めました。まず、穏やかな自然光が入ること。移動する空間の先に光があるようなプラン構成と開口部のあり方を意識しました。しかも強い直射日光ではなく、壁面に反射する柔らかな光です。
敷地には多少の高低差があり、内部空間の中でその高低差を解消するためにスキップフロアのプランを採用していますが、そのことによって全ての空間が一つながりに流れるようになっています。中間階にトイレ・洗面・浴室を配置することで水回りへのアクセスが短く機能的になりました。
ペットとの生活
この住宅の計画で大事にされたのは、老犬の「ソックス」と猫の「みいちゃん」です。と言っても彼らが遊ぶドッグランやキャットウォークなどが特別にしつらえてあるわけではありません。もっとさりげない部分にデザインが隠されています。
例えば、玄関は二重扉になっており、散歩から帰ったソックスの足を洗う流し場があります。しかし、そこにはモザイクタイルが張られ、玄関のデザインの一部となっているので、来訪者はすぐには気がつきません。
リビングを覆う床タイルは、清掃のしやすさと滑りにくさを考慮して実は決められたものです。階段の腰壁上の手摺りも、猫が歩き回って落下しないようにするためにお施主様と相談して作りました。
24時間空調の家
この家には部屋を仕切る扉がほとんどありません。冬や夏の空調はどうするんだと思われるでしょう。もちろん備えはあります。一階の床全面に基礎蓄熱輻射暖房(※1)を入れ、24時間全館空調の家にしてありますので、冬場こそ快適です。適度に温度設定した床は陽だまりのように優しく暖かい。夫婦が不在の時、家の中はペットだけになりますが、このシステムの恩恵を一番受けているのは、彼らかもしれません。ペットたちが引っ越し前より元気になったとお施主様が笑いながら話してくれました。
(※1)基礎蓄熱輻射暖房システムはBe システムを採用
篠原町の家
建築データ
所在地 :横浜市港北区
設計 :ヤマサキアトリエ一級建築士事務所
構造設計:小山直丈構造設計事務所
照明計画:園部デザインオフィス
施工 :株式会社栄港建設
敷地面積:127.46 ㎡
建築面積:57.65 ㎡
延床面積:88.27 ㎡
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